太陽光ファンドの忘れちゃいけないリスク

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お金関係のサイトを巡回していると、各サイト様のGoogle Adsenseに太陽光ファンドの広告がよく表示されます。興味はないので鬱陶しいなぁ・・・としばしば思いつつ、気になるのが実際のところ儲かるのかどうかということ。

環境に優しい太陽光発電に投資しつつ、安定的な収益が上がる。確かに聞こえは良いですね。

 

収入原資は政府による再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度

 

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太陽光ファンドの仕組みは以下の通りです。

1.出資者として、太陽光発電業者に1口50万円ぐらいで出資します。

2.太陽光発電業者は、出資金を基に用地やソーラーパネルを購入し、設置します。

3.電力会社は、政府の定める固定買取価格で太陽光発電による電力を買取ります。

4.太陽光発電事業者は、売電収入を出資口数に応じて出資者に分配します。

 

規模が大きいプロジェクトのスキームになりますと、間にSPC(特定目的会社)を挟み、EPC(建設工事請負)企業やO&M(運用・保守)企業がそれぞれ別の事業者になったりもします。

 

経済産業省によると、日本のエネルギー自給率はわずか6%で、発電量の多くは石油・石炭などの輸入原料に頼っているのが現状です。こういったエネルギーの海外依存度合いを下げるため、日本で消費される電力の構成を国策として変えて行こうという動きの一つが、再生可能エネルギー固定価格買取制度です。

太陽光や水力などの再生可能エネルギーは、日本国内でも賄うことが可能ですよね。そうした自然エネルギーを固定価格によって安定的に収益が上がるようにし、事業者を増やして普及させようというのが固定価格買取制度の狙いです。

 

近年では、東証がインフラファンド市場の創設を決定し、三井住友信託も伊藤忠エネクスと組んでインフラファンドの上場を検討するなど、今注目の集まっている運用手法の一つです。 

日本取引所グループ:東証インフラ市場の概要

日経テクノロジーOnline : 三井住友信託など、約50億円の再エネファンド、投資商品の上場も検討

 

年利回りは3~4%前後と高め。元本返戻確実な投資と考えるとかなりの好条件

 

人気の太陽光ファンド実際の運用利回りはどんなものなんでしょうか。「太陽光ファンド」とググると出てくるエコの輪ファンド.comの投資案件を一例として取り上げてみます。

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(出所)エコの輪ファンド.com

上記は実際に募集されている案件の一例になります。2口で百万円の出資を行った場合、10年後に返戻される金額は、36万円と年利回り3.6%の投資になります。元本が確実に返戻されるREITと考えれば、悪くはない投資です。

太陽ファンド投資の場合、よく出る数字として、年平均分配率目標利回りの言葉がよく出て混乱しそうですが、これは定期預金等でよく使う利回りの概念とは違うので注意が必要です。

太陽光ファンドは、「出資」ですので基本的に中途解約などによる現金化はできません。但し、上記の1年目の例のように、売電による利益が出ようが出まいが、当初の分配金から元本の償還を含んでおり、10年目に完済されるという考え方をします。そうした前提において、年平均分配率・目標利回りとは以下の通りに定義されます。

 

・年平均分配率 = 当初の出資金額に対して、元本込の年平均で払い戻される金額の割合

・目標利回り = 元本の年平均残高に対して、償還間際に払い出され始める利益分配金の年平均額の割合

 

つまり、仮に当初の資金100万円が完全に10年解約もせず・放置できるものならば、単純に100万円の投資に対するリターン36万円で36/100 = 年平均利回り3.6%の案件です。

 

気を付けたい政策リスクと事業者リスク

 

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固定価格で安定的な収入の期待できそうな太陽光ファンドですが、早くも制度の破たんが叫ばれ始めています。

日本の固定価格買取制度のモデルとなっているドイツなどの海外においても、同様の制度によってエネルギー構造の転換には成功しました。しかし、電力価格が周辺国平均より高騰しており、高額な電気料金支払いを強いられる国民から同制度は批判の的になっています。

また、経産省が今年1月には送電網の能力を発電量が上回った場合は、電力会社が買取量を制限できる新ルールを策定するなど、太陽光ファンドは国策に完全に依存した投資であり、政策変更リスクは常につきまといます。

10年間同制度が今のまま維持されていれば良いですが、モデルとなった海外では結局制度変更等、最後までうまくいった事例はありません。

また、事業者の殺到に伴い、発電量は増加する一方、太陽光発電買取価格は下落の一途を辿っています。将来的には更なる買取価格の低下や買取量の制限も見込まれ、そういった厳しい環境下において太陽光発電業者の事業継続可能性は果たしてどうなのでしょうかね・・・。

まぁ、完全に美味い儲け話は無いってことですね。

 

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